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中国仕入れにおける「海外送金」の課題と解決策ガイド

2026-08-12

日本企業が中国から商品、原材料、あるいはOEM製品を仕入れる際、サプライヤーの選定や品質管理、物流の手配に加え、「決済・支払い方法」の選択も調達効率を大きく左右する重要な要素となります。

特に、初めて中国仕入れを開始する企業や、一回あたりの取引金額が大きい企業の場合、経理・財務部門が直面しやすい実務上の課題が「海外送金(国際送金)の手続きの複雑さと、銀行による審査時間の不確実性」です。

近年、金融機関によるマネーロンダリング防止(AML)対策や、顧客身元確認・取引背景のコンプライアンス審査が厳格化しています。それに伴い、国際送金の際には売買契約書、インボイス(Invoice)、取引背景資料などの提出を求められるケースが増加しており、確認事項が生じた場合には着金までに時間を要することもあります。

では、日本企業が中国から仕入れを行う際、どのような決済手段を選択するのが最適なのでしょうか。

実のところ、海外送金だけが唯一の選択肢ではありません。自社の財務制度や調達規模、内部管理規程に応じて、「従来の海外送金(中国本土への直接送金)」と「日本国内での決済」を柔軟に使い分けることが可能です。

1. 中国仕入れにおいて「海外送金」が負担となりやすい理由

① 銀行による取引背景の確認が必要になる

日本国内の口座振込と比較し、国際送金は異なる国・地域の金融機関を経由するため、送金額や取引先、送金目的等に応じて銀行から詳細な取引背景の証明を求められる場合があります。

一般的に、以下のような書類の準備が必要です。

  • 購買契約書(売買契約書)
  • プロフォーマインボイス等
  • サプライヤーおよび口座名義人の詳細情報
  • 品名・数量等の取引内容が確認できる資料
  • その他、取引の実体性を証明する資料

なお、契約書やインボイス、銀行口座名義、会社所在地などの基本情報に表記の表記表記表記(不一致)がある場合、追加の確認手続きが発生し、送金がストップする要因となります。そのため、定期的に中国仕入れを行う企業においては、事前に取引関連書類の表記や情報を統一しておくことがトラブル防止の鉄則です。

② 中継銀行(コルレス銀行)を経由するリスク

国際送金は通常、複数の銀行ネットワークを経由して決済が行われます。特に米ドルなどの外貨建決済を行う場合、中継銀行(Correspondent Bank)を経由するプロセスが入ります。

そのため、日本側の企業が送金手続きを完了していても、途中の審査や決済ルートの混雑状況によって資金の実際の着金タイミングが前後することがあります。

「自社口座からはすでに引き落とされているのに、中国のサプライヤー側で着金が確認できない」という現象が生じるのは、主にこのためです。

③ 送金手数料と為替リスクの考慮

海外送金には、通常の送金手数料に加え、電信料(リフティングチャージ)や中継銀行手数料といったコストが発生します。

また、仕入れ契約が人民元(RMB)や米ドル(USD)建てであり、自社の主資金が日本円(JPY)である場合、為替レートの変動が調達コストや決算・財務処理に直接影響を与えます。

スポットで発生する単発の仕入れであれば許容できるコストであっても、継続的かつ規模の大きい調達を行う企業にとっては、決済方法そのものを購買プロセスの改善項目として見直す価値があります。

2. 海外送金は現在も標準的かつ有効な決済手段

なお、「海外送金の手続きに注意が必要である」からといって、「海外送金による中国仕入れが不可能である」という意味ではありません。

すでに国際送金フローが確立している日本企業にとって、T/T決済(電信送金)等を用いて中国の現地法人やサプライヤーへ直接送金する方法は、現在も国際貿易における最も標準的な決済手段です。

この方法を採用する場合は、事前に以下のポイントを再確認しておくことをお勧めします。

【事前確認チェックポイント】
受取主体(法人名)、銀行口座情報、契約書、インボイス記載の情報が完全に一致しているか。

長期的に取引を行う企業であれば、経理部門と事前に必要書類や内部承認フローを標準化しておくことで、毎回発生する確認作業の手間を大幅に削減できます。

つまり、海外送金は「すでに国際決済の運用体制が整っており、越境(クロスボーダー)手続きの標準的なプロセスを受け入れられる企業」に適した手法と言えます。

しかし、多くの日本企業にとっての本質的な課題は「海外送金ができるかどうか」ではなく、「すべての中国仕入れにおいて、毎回クロスボーダー送金手続きを踏む必要があるのかどうか」という点にあります。

ここに、もう一つの選択肢である「国内決済モデル」の導入メリットが存在します。

3. 海外送金を回避したい場合の選択肢:「日本国内取引」への切り替え

決済プロセスの簡素化を図りたい日本企業にとって有効なアプローチが、「決済手続きは日本国内で完了させ、実際の中国現地での調達・実務は現地チームに一任する」というモデルです。

例えば、日本国内に拠点を持つ法人(または日本側の取引主体)と仕入れ関連契約を締結し、商流上の決済を日本法人に対して行います。一方で、中国現地においては、サプライヤー開拓、相見積もり、発注、検品、梱包、国際物流といった実務業務を従来通り進めます。

このモデルにおける決済の流れは、以下の通り変化します。

  • 従来のパターン: 日本企業 ──(海外送金)──> 中国現地法人
  • 国内決済パターン: 日本企業 ──(日本国内振込)──> 日本法人

これは「仕入れ業務そのものを日本へ移転する」という意味ではなく、「仕入れの『実務執行』と『代金決済』のプロセスを分離して運用する」という考え方です。

この手法により、クロスボーダー送金に伴う管理上の負担を大幅に軽減することが可能です。

*(※なお、日本法人が商流に入ることにより、当該法人の適正利益や事務手数料が加算される場合があるほか、輸入者名義が受取先となる日本法人へ変更となる点には留意が必要です。)*

※補足(個人事業主・小規模EC事業者向けの決済について)
個人での輸入代行や小口仕入れにおいては、Alipay、PayPal、Panda Remit、Wiseなどのオンライン決済ツールの活用も非常に便利かつ低コストです。本記事ではB2B法人取引を中心に解説しているため、これら個人向け決済サービスの詳細については別記事にてご紹介いたします。

4. 2つの決済方式の比較

比較項目 中国法人との直接取引 日本法人を経由した取引
主な決済方法 海外送金(T/T送金等) 日本国内口座振込
主な決済通貨 人民元(RMB)、米ドル(USD)等 日本円(JPY)
国際送金手続き 必要(案件ごとに書類確認等) 原則不要(国内振込で完了)
為替リスク管理 為替変動に応じた管理が必要 日本円決済のためシンプル
会計・財務処理 海外取引フローに基づく処理 日本国内の一般的な取引として処理可能
中国現地での調達実務 中国現地チームが担当 中国現地チームが担当
適している企業 すでに国際送金体制が整っている企業 国内振込で決済フローを統一・簡素化したい企業

どちらの方式にも絶対的な優劣はありません。すでに海外送金の実務に習熟している企業であれば、中国の調達拠点へ直接送金する方法で問題ありません。一方で、社内フローを日本国内の振込に統一し、日本円で円滑に会計処理を行いたい企業にとっては、国内決済モデルが非常に合理的な選択肢となります。

5. 決済方式を選択する際の3つの確認ポイント

ポイント①:社内に確立された海外送金フローが存在するか?

すでに社内で安定した外貨口座の運用、承認プロセス、必要書類の管理体制が構築されている場合は、従来のT/T送金を継続して問題ありません。決済のためだけに既存の購買プロセス全体変更する必要はないと言えます。

ポイント②:財務・経理部門が「日本国内振込」を希望しているか?

「海外送金時の書類準備や中継銀行によるタイムラグを減らしたい」「経理処理を日本円の国内振込に一元化したい」という要望が社内にある場合は、日本国内取引モデルを優先的に検討すべきです。

ポイント③:「仕入れ実務」と「決済主体」を分離できるか?

中国仕入れにおいて、「どこへ支払うか(決済主体)」と「どこで調達を行うか(実務執行)」は必ずしも一致させる必要はありません。

日本の決済主体を通じて支払いを完了させつつ、中国現地の専任チームが一連の実務(サプライヤー開拓 ──> 相見積・価格交渉 ──> サンプル確認 ──> 発注 ──> 検品 ──> 梱包 ──> 国際物流)を一括して担う体制を構築できます。

この分離構造により、中国現地での強力なサプライチェーン実行力を維持したまま、自社の財務方針に最も適した決済方法を選択できるようになります。

6. 継続的な中国仕入れで最も重要なのは「自社に合った決済モデルの構築」

海外送金そのものは、中国仕入れの障害ではありません。重要なのは、「どの決済方式が自社の財務制度および購買フローに最も適合しているか」を見極めることです。

すでに十分な海外送金体制を持つ企業は、中国法人との直接取引・国際送金を維持するのが最もスムーズです。

一方で、国際送金の手続き負担を軽減し、日本円での決済に統一したい企業、あるいは購買決済を日本国内の財務フローに組み込みたい企業は、日本法人を活用した取引構造へのシフトが推奨されます。

【当社のサポート体制のご紹介】
当社では、中国現地に専門の調達・サプライチェーンチームを擁し、現地でのサプライヤー開拓、発注手配、品質検査(検品)、物流手配までを一貫してサポートしております。

同時に、日本国内にも法人拠点を完備しているため、お客様のご都合や社内規定に合わせて以下の柔軟な決済パターンに対応可能です。

  1. 中国法人への海外送金(既存の国際送金フローを活用したい場合)
  2. 日本法人との国内取引(日本国内振込・日本円決済に一元化したい場合 ※手数料調整あり)
  3. 日本法人による集金代行・口座受取(国内決済の手間削減を優先したい場合)

単に振込先口座を変更するだけでなく、お客様の財務制度や購買慣行に合わせた最適な取引スタイルをご提案いたします。

中国仕入れを成功させるための要は、単に「価格の安いサプライヤーを見つけること」だけではありません。決済、品質管理、物流、そしてサプライチェーン全体の安定性確保が不可欠です。

海外送金は標準的な手段であるものの、銀行審査、書類準備、着金日数、為替リスク、手数料などの要素が経理・財務上の負担となることも事実です。

自社の運用フェーズに合わせて、「中国法人取引 × 海外送金」か「日本法人取引 × 国内振込」のいずれかを最適に選択することが大切です。

中国現地チームによる強力な実務サポートがあれば、たとえ日本国内決済モデルを選択した場合でも、現地調達のメリットを最大限に享受することができます。

長期的に中国からの調達・輸入事業を展開する企業にとって、自社の財務プロセスに最適化された決済パターンを確立することは、調達効率と事業の安定性を高めるための重要な戦略となります。

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